クラウドファンディングで230万円調達したパルクール広島の魅力に迫る。

パルクール広島ジム

みなさんこんにちは、トレポス編集部です。私たちは2018年の始めに広島県で活動しているパルクール団体「パルクール広島」へ行き、インタビューをしてきました。

2017年のReady.forでのクラウドファウンディング「日本初!雨でも楽しめる本格屋内パルクールジムを広島から!」では2,340,000円の希望金額を超えて、2,659,000円円を調達。パルクール活動支援団体としてはもっとも勢いがあると言っても過言ではない団体です。

今回の記事では「パルクール広島の歴史とは?」「どんな活動しているの?」「クラウドファンディングで約束されていた日本発のパルクール専用屋内施設はどうなっているのか?」などについてインタビューを元に記事をお届けします。

パルクール広島はもともと2人から生まれた?

初期の頃のパルクール広島は、塾の講師をしていた荒本さんと最初の生徒だった誠さん(後のスタッフ)が長い間二人だけでパルクールをし続けていました。

2人で練習を続けていくうちに興味を持った人が集まるようになり、練習会などを開催するようになりました。MonsterPKで活躍しているゆうたろう氏との交流で本来のパルクールの哲学的、または倫理的な面を共有し、現在のパルクール広島の軸が形成されました。

現在は代表の荒本さんを中心にして、複数名のスタッフでパルクール広島を「パルクールしたい人たちに対して環境を提供する」という理念の元、運営しています。

クラウドファウンディングによって実現したパルクールジム

パルクール広島のメインの活動の一つはイベント出演で、出演依頼等は増えてきています。その他には、クラウドファウンディングの支援金を元に用意することが出来た建物をジムとして使えるように整備し、現在は本格オープンに向けて何個かのクラスを開講しています。

私達が取材で訪れた1月はまだパルクール広島はプレオープン中。毎日少しづつジムらしく改造されていきます。Twitterなどでは日々、代表の荒本さんがその様子を綴っています。

クラスで使用するパイプで作られた設置物は、ヴォルト・プレシジョンなど様々な動きのコーチングで柔軟に活用されています。クラスに通うお子さんが気に入りすぎて、作って欲しいと依頼もあるぐらい人気のようです。

まだ、塗装などが施されていない2階はキッズクラスに参加している保護者の方々がクラスの様子を見学できるスペースになっています。妨げにならない場所で、しっかりと子どもたちが見渡せるように配慮されている空間になっています。

キッズクラスは大人気

大人気のキッズクラスは、自ら参加したいと親に頼んで参加する子どもたちが沢山パルクールを楽しんでいました。参加している子供を見守る有田さんは
「パルクールを習い始めてから、家の中でもジャンプしたり、公園でも柵などに乗って遊ぶようになった。遊び方を自分で考えるようになった。日常でも特別な道具が必要なく、あるものを工夫して遊ぶようになった。」と、子供の遊びの自主性が伸びたことについて答えてくれました。

また、他にも子供の様子を見学されていた保護者の方々は「パルクールは一見危ないように見えるが、実際に教えている様子を見ると、とても気をつけていることが分かったので安心できます」と安全性に対するパルクール広島の指導方法に共感している様子でした。

また、キッズクラブの他に人気のクラスが親子クラスです。

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子供が楽しそうにパルクールのクラスを受けている様子をみて、思わず自分も参加してしまう。パルクールの魅力は世代など関係ないことがパルクール広島では証明されています。

パルクール広島の優秀な若手コーチ

パルクール広島は代表の荒本さんと共に団体を支える優秀な若手コーチ達によって盛り上げられています。クラスでメイン講師を務める代表のそばで、全体に目を配りアシスタントに徹する彼らはパルクール広島に欠かせない存在です。
その中でも代表の荒本さんと2011年からパルクール広島の練習会を開いてきた誠さんは、土曜日のクラスで講師を担当しています。長期に渡りパルクールを続けてきた彼は、パルクールとは「心身を鍛えること」であり、その範囲は日々の生活まで入り込んでいるので、例えば姿勢をよくすると健康にもいいし見栄えがよくなるなどいい影響がある。こうした小さなことでもパルクールのトレーニングだと思っていると話していました。

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また、誠さんは長い期間を通して学んだことを下の世代に伝える、つまり次世代の講師やトレーサーの育成に力を入れることを視野に入れてコーチの指導も行っています。その一人である高校生の亮斗さん(取材当時:18歳)は現在誠さんのクラスにてアシスタントを担当しています。亮斗さんの夢は世界大会に出るトレーサーを育成するパルクールコーチとのことで、日々師であり先輩であり、そして仲間である誠さんからパルクールの技術とコーチングに関して学んでいるそうです。亮斗さんは、高校生ながらパルクール広島の練習会を主催しており、なんと2017年のパルクール広島の練習会における最多主催担当者にまでなったそうです。インタビュー中終始堂々と思いのたけを話す姿からは強い自信を感じました。

高校生にパルクール広島の練習会の主催を任せることは、地域に受け入れられている団体だからこそ可能だったと思います。”誰が主催者でも安心”と思ってもらえる程、地域から信頼されており、パルクール広島はこれまでに類を見ない地域に根ざしたパルクール団体であると感じました。

パルクールの魅力が新しい風を吹かせる

取材の中で、私たちはクラスを見学する機会がありました。そのクラスに参加しているキッズクラブの生徒達はもちろん、講師陣も心の底から楽しくパルクールをしている様子が伝わりました。最初は危険じゃないかと不安だった保護者の方々も現在はPTAとして活動をサポートしています。

パルクールの魅力は、クラスの生徒だけでなく保護者の人たちをも巻き込みました。パルクール広島は日本のパルクール文化の代表となるのではないか、そう思わせる素敵な人々に囲まれたコミュニティでした。